2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「重いくびきの下で−ブラジル農民解放闘争」フランシスコ・ジュリアン

この地の農民の立場を表すのにわかりやすいかなと思うのは、この著者さんが公の場で「カンバネス」(カンボがだいたい日本の“田んぼ”に相当)と農民のことを表現した時。 あまりにも過激すぎる、という非難を受けたという辺りでしょうか。 地主制を基礎とす…

「スペイン「ケルト」紀行−ガリシア地方を歩く」武部好伸

一言で言っちまいますと「ケルトっていうよりポルトガル?」というのがどうも著者さんの印象だった模様で、ものすごく申し訳ないながら、スペインとポルトガルでそれほどの差異があるのかー、というところからしてまず驚きの対象だった自分に特にそれ以上な…

「ラテン・アメリカ史」中屋健一

出版が1964年、ということはキューバ革命を経ての社会主義化が宣言されたことがちょうど同時代で(1961年)、メキシコに買い出しに来た彼らが、様々な日用品雑貨を買い込んでまた戻っていくことを非常に憂慮していたのですが。 (よく考えてみると農…

「CIA−変貌する影の帝国」斎藤彰

諜報機関としては兄貴分であるイギリスの諸機関になぜか適わないだとか(でもなぜに? ハード面やら資金面なんかで桁が違うはずなのに)(特になにか言ってくるわけではないんですが、情報を「貰う」嵌めに)(滅多にくれません、そりゃそうだ)、どう考えて…

「シャルルマーニュの時代」J.ブウサール

正直まあ、日本ではわりとよく見られる光景なんですが、ヨーロッパの歴史を遡るに当たってまずローマ帝国を押さえ、続いてフランス/イタリア/現在のドイツの地に相当する“神聖ローマ帝国”の出現したフランク王国カロリング朝の「解体」をすっ飛ばし、まあ…

旅ch「ちょっと贅沢!欧州列車旅行」#7 TGVで訪れる世界遺産“モン・サン・ミッシェル”

TGVというのは日本の新幹線を抜いて(残念w)世界一になった高速鉄道で、今度そのリベンジのためにリニア・モーターカーの導入をするのかなぁ、とか思ってるんですがというのは余計な話なんですが、干潮時には歩いて行けるものの、満潮時にはさっくりと…

「フリードリヒ大王−啓蒙専制君主とドイツ」村岡晢

理論的に考えても“強権的な父親”というのはだいたい教育、っつーか育児に失敗するのではないかと思うのですが。なんつーか、能力の伴わない態度だけでかい(父ちゃんにはちゃんと態度のでかさを裏打ちする能力があるわけですね)小暴君を作り出すか、この本…

『都市と防災’08』#9 火山災害とその対応

過去1万年内に噴火した、もしくは日常的に噴煙を上げているのが活火山ということなんですが(要するに1万年以上噴火したことがなくても、ということだよね)。正直、えらい長い期間のような、と思ってしまったんですが、地形の話をしているとわりと普通に…

「徹底批判 G8サミット」ATTACフランス

こう言ってしまうとなんなのだけれども、正直いまいちな内容で、なんというのだろう、とりあえずこの本に書いてあることが全て本当だとしても(そこを疑ってるわけではないんですけどね、ただ、客観性が高いとは言いがたいとも思っているのでなんとも)、「…

「フランスの中心 ブルゴーニュ 歴史と文化」饗庭孝男(編

ブルゴーニュ、というのはフランスの地方の名前で、まあ、大雑把に起源を辿ると現在のフランスの前身である“フランク王国”がこの地に存在する以前からその地にあったブルグンド王国(ゲルマン系なのでドイツ読み、ブルゴーニュがフランス読みです)が、若干…

「修道院−祈り・禁欲・労働の源流」今野国雄

修道院というのは宗教者が自身の信仰を高めることを目的とし、人里離れた場所で祈りの日々を送る、というのがその主要コンセプトである宗派のことを指していうのですが。自分たちだけででがっつりと自給自足に足るほど作ってるとそもそも祈ってる暇がなく。 …

「戒厳令下チリ潜入記−ある映画監督の冒険」G.ガルシア・マルケス

まあガルシア・マルケスの名前くらいは聞いたことがあるにしても(南米の小説家、というところまでが出てきて、あとはどこで聞いたかも思い出せない)(のが私です、そして多分この手の人はけして少なくないかと思います)、チリという国の形までは頭の中に…

『プロジェクトJAPAN』プロローグ−戦争と平和の150年(1

まあ母上はこれが“9条”のために作られた番組だと主張するわけですが。 正直ぶっちゃけまして、その切り口がやけに薄っぺらく聞こえるのはそういう世代だからでしょうか、わかりやすく言うと「それ聞き飽きた」というか。個人的には全く聞いた覚えのなかった…

『探検バクモン』うわさのブラジル街〜群馬県大泉町

前にこの番組が始まると聞いた時に「『ブラタモリ』と被るんじゃない?」と言ってる人がいたんですが、あー、うん、確かに前の『爆問学問』よりもそういう傾向はあるような気もしますが、多分この二人だと全く同じところに行っても別の切り口になるんじゃな…

『探検バクモン』“海猿”たちの秘密基地〜海上保安庁

海上保安庁というとなんか地味に有名ではないかと思うんですが、こないだ映画も公開されていた『海猿』などのドラマ以前に(そう言ったほうが通りはいいですねw とか苦笑いされてましたが、あとから出てきた部隊とはそもそも所属が違って不審船に当たる部隊…

「イングランドの中世騎士−白銀の装甲兵たち」クリストファー・グラヴェット

そもそもこれ自体が19世紀に作られた概念だ、とも言われるのですが、イングランド王家によるフランス王位の要求から(等親でいうと実際近いです)、イングランドの大陸側領土からの撤退までを含めた百年あまりを指す≪英仏百年戦争≫と。 それに引き続いて起…

「ワイン物語−芳醇な味と香りの世界史(上」ヒュー・ジョンソン

正直、ローマ共和制時代の大カトー(大っ嫌い)がカルタゴの良質なワインに嫉妬して同都市を滅ぼす決意をした、というのは「ホントかよ?」と思わないでもないものの。 あるいはイングランドが大陸フランスの領地アキテーヌの所有に拘ったのは、同地が輸出し…

『探検バクモン』2050年にタイムスリップ!

未来社会の生活を覗いてみよう、というコンセプトのこの回、なんというのかな、番組の中でも言われていたんですがかつて「未来社会の想像」っていうとなんかすごく離れて無機質な感じのものだったんですが、今子どもたちがそれを考えようとすると緑の復活し…

『都市と防災’08』#8 進化する地震災害と被害相互の連鎖関係

多分私、この回の内容のようなことが聞きたくてこの授業全体を見ていたんじゃないかな、ということを思ったんですが、大雑把に言うと地震被害とその直接の原因のような部分と、民間に知られていたり語られていたことの(専門家との)齟齬というか。 例えば関…

「アマゾン源流「食」の冒険」高野潤

正直申し上げてこの本を“逞しい”と見なすかそうでないかは、性別によって違ってくるのではないかと思うのですが、いや、もちろん日本人だしわかるんですよ、自分が「撮っている」対象であるところの野生動物食べるのってなんか違うなぁ、とかいくらなんでも…

「さまざまのアフリカ−灼熱の大陸」石郷岡建

“さまざまの”とは銘打ってありますが、本書のほとんどは著者さんが暮らしていたジンバブエに関してで(1989年発行)(1999年の『グレートジンバブエ』ではハイパーインフレに見舞われていた、と読んでいるのですが、今どうなっているのか、正直アフ…

「キューバの社会主義(下」P.M.スウィージー

というわけで、いいこと尽くめだった上巻に比べ、下巻の展望はまだまだ見えず、「サトウキビの機械収穫」が可能になったという部分に関しては掛け値なしに希望としていいとしても(植え付けよりも収穫が大変なのはわかるんですが、植えすぎて収穫されずに腐…

「キューバの社会主義(上」P.M.スウィージー

ある意味でショッキングといえる本で、先入観を抜きにするとここに出てくる「アメリカ帝国」(中南米においてはそういう存在なのだそうです、別の本より)の存在は正直一昔前のやりたいことがよくわからない出来の悪い悪役にしか見えない。 そしてソ連邦筆頭…

「パリとセーヌ川−橋と水辺の物語」小倉孝誠

フランスの首都パリは、かつてセーヌ川の中州である“シテ島”から始まったのだ、という歴史はまあいいんですが、正直、その始まった頃の本というのはやっぱり無理なのかなぁというか、そもそも史料が少ないことは知ってるんですけどね。 (考古学資料、と期待…

『ATARU』mission 1

正式な回のタイトルはないのかな?(テレビの煽りっぽい文章が回タイトルみたいになってるデータもあるにはあるんですけど、内容からして違うっぽいな) なんでしたっけ、「美人過ぎる女子刑事」として警察の宣伝塔として周囲から扱われているんだけど所属し…

『都市と防災’08』#7 地震と地震災害の基本

1700年からの被害者数のトップ10の1位が1923年の関東地震(被害の総称が関東大震災)、10位が1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路沖大震災)。 6位の1703年の元禄地震、8位の1855年の江戸地震が東京への被害。 津波被害が大きか…

「メキシコ革命−近代化のたたかい」増田義郎

「古代アステカ王国」の続刊にして、その直後から書き始められた本で。 要するにスペイン人の中米・メキシコの地アステカ文明への侵略、その後のスペイン支配、正直に言えば私はコルテスがこの地を治めた場合、もう少し事態はマシだったのではないかと思えて…

「ベーダ 英国民教会史」高橋博

そもそもイギリスというのはイングランドが訛ったもので、英国(連合王国)を形成する地域の一つなんですが、そのイングランドの形成よりもさらに昔、この島のアングロ・サクソン諸民族(他にケルト諸族がいます)を指して“七王国時代”と呼ばれていた頃。 そ…